The Heart of Sewing that Dwells in the Japanese Climate -日本の風土が宿る縫製の心-

 

輪島の人々の想いが形作る純日本産のボトムス

 

2022AWにデビューを果たした日本発のメンズブランド『HUM VENT』は、《Classic:不変の美しさ》《Inflection:上質と遊び心》《Function:快適な日常》といったコンセプトを主軸とし、高い質感をまとったコレクションを展開する。

 ブランドはその高いクオリティを実現するため、国内生産=Made in Japanを徹底している。

 日本各地に点在する工場を巡り、アイテムによって適材適所の工場へと生産を依頼。そのひとつが、石川県能登半島の輪島市で、長年に渡り縫製を手がけているとある工場だ。

 

  

 

紺碧の海と深緑の山が隣接する輪島市は、港町と城下町の風情が色濃く残り、世界に誇る漆器として知られる輪島塗や、無形文化財の御陣乗太鼓といった地元の文化を継承する土地だ。

 歴史あるこの街で、HUM VENT2022AWにリリースする〈SOLIS CAVALRY TROUSERS〉が生まれている。

 この〈SOLIS CAVALRY TROUSERS〉のシルエットはHUM VENTの基本となる形で、ヴィンテージのトラウザーから型取りし、オリジナルのギャバリー生地で作成されている。サイドに切り替えが無く、横から見てもスパッとした綺麗なシルエットなのが特徴で、美しさを誇るこのボトムは誰が履いても綺麗に着用することが可能だ。

 当然、この美しいラインを実製品へ落とし込むためには、実際に縫製するスタッフの視点や卓越した縫製技術が必要となる。

  

HUM VENTさんから依頼があった〈SOLIS CAVALRY TROUSERS〉ですが、通常のパンツに比べると非常に複雑だと思いました。ですが、長年の積み上げてきた技術や、それを実作業で実施してくれるスタッフがいるので可能だろうと。私ども輪島工場が誇る、精鋭スタッフが、日々作業にあたってくれています」(縫製会社・代表)

 輪島工場で働く十数人のスタッフは、全員が女性で構成されている。縫製に際して、実生産が可能かどうか素材・仕様・パターンを精査する必要があった。

 「まずは弊社の代表がHUM VENTの末木さんと長いお付き合いがあり “どうにか実現してあげたい”という想いがある旨を聞きました。ただし、最初にいただいたパターンが特殊な仕様だったため、正直にこのままでは量産は難しく、縫製の観点から実現に近づけるようなアイデアを提案させていただきました。そうしましたら、その提案を汲み取ってくださったのです。私たちスタッフも、一生懸命にものづくりしている方の力になりたい、純粋に良いものを作りたいという想いがありますので、その気持ちは同じなのかなと」(輪島工場・スタッフ)

 

 

 

「輪島工場さんとは、仕様面・素材との相性・生産性・日程などのやり取りを、常に行わせていただきました。忙しい中でも、非常に丁寧にどうすればデザインを変えずに、量産投入出来るかを一緒に考えてくださる。その結果、展示会直前に完成度の高いサンプルが作ることができ量産に繋がりました」(プロダクション・末木)

 驚くことに、HUM VENTの〈SOLIS CAVALRY TROUSERS〉に関しては、通常のパンツの5倍もの工程を経て製品化に至っている。また、ボタンに関しても、普通は数個ほどが付くところ、前後合わせて13個も付属されという一筋縄ではいかない仕様となっている。

  「確かにHUM VENTさんの〈SOLIS CAVALRY TROUSERS〉は複雑かつ特殊なシルエットなので、普通のボトムスにはない作業が必要となり、それに伴って工程数が増えているのも事実です。それぞれのパートごとにスタッフが作業にあたっているので、十数人で1本のボトムスが完成されるということになります。

 手間の部分でいえば、正直、普通のものよりも大変です(笑)。でも、実際に仕上がったものを手に取ってみると、女性である私たちスタッフも“素敵だなぁ”と思えるんですよね。

実は、輪島工場には工場長はいません。納期のスケジュールから仕上がりの管理まで、各スタッフが判断しながら動いています。ですから、この縫製に携わる一人一人のこだわりが製品に反映されているのと思っています」(輪島工場・スタッフ)

 

 

 HUM VENT のアイテムは、単に表面的なMade in Japanを打ち出すのではなく、日本の風土や人々の想いをも紡がれ製品化されている。


 
>後編に続く

 

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